歩くのは健康のため?それとも脳のため?
多くの人が健康への興味関心を抱えている現代。最近、「歩くこと・走ることが脳に良い」という内容の記事やニュースを見聞きしたことはありませんか。今回は、歩く・走ることの効果、そして脳との関係がテーマです。
運動は国も推奨
健康のために適度なウォーキングや散歩が良い、ということは広く知られています。厚生労働省が掲げる「健康日本21」では、国民の身体活動・運動の推進のためとして、1日の歩数の数値目標を示しています。
<1日平均の歩数目標>
男性9,200歩程度/女性8,300歩程度 「1,000歩は約10分で得られる歩数であり、距離としては600~700mに相当する」とのことなので、男女ともおよそ1時間半前後の時間をかけて歩くことを推奨しています。 こうした政策は、生活習慣病の予防などの効果を狙って示されています。運動で得られる効果に関する知識は、国民の間に普及しつつあるものの、実際に運動を行っている人の割合はまだまだ少ない…というのが国の認識です。数値目標の設定や情報提供も、実践する人を増やすための施策の一つとされています。 |
歩くことと脳の関係
ウォーキングや散歩は手軽にできる有酸素運動です。有酸素運動は、継続する時間が長くなればそれだけ脂肪燃焼の効果が増します。脂肪をエネルギーに変えていくため、体脂肪や血液中の中性脂肪の減少、血圧や血糖値の改善にも効果があります。
またウォーキングや散歩は、身体の運動だけでなく、脳の運動にもなります。「歩く」という有酸素運動をすることで、心臓や肺の動きが高まります。一般的には歩き始めて20分ほどで、体内の血液循環が活性化され、新鮮な酸素が脳(前頭葉)にも活発に運びこまれます。 脳内の血流が増加す
ることなどで、知能や認知機能が向上するのです。
こうした運動を、単発ではなく、習慣として行うことが理想です。国民栄養調査では、「週2回以上、1回30分以上、1年以上、運動をしている」という人を運動習慣者と定義しています。習慣的にウォーキングや散歩をする、視覚や聴覚も意識しつつ周りの様々なものを感じながら歩く、そんな運動を心がけることで、体や脳の活性化につながるのです。
走ることの効果
「走る」という運動も、脳に良い効果をもたらすと言われています。論理的には「歩く」ときと同様に、有酸素運動で血行が良くなって、酸素が脳へと十分に運びこまれていきます。脳の血流が増し、活動が活性化される、という流れです。
走ることで脳のパフォーマンスを上げるには、ある程度心拍数を上げ、ややハードめの走りを数ヶ月継続的に行うべき、という研究が英国の大学で行われているとのこと。
また人間の筋肉量は上半身より下半身の方が多いため、 走ることで上半身のみのトレーニングよりも脳の活動量が増す、という説もあります。
一般的には、健康づくりに適した軽い走りがジョギング、本格的なトレーニングとしてはランニング、という分け方がされています。ジョギングやランニングはウォーキングとちがい、両足が地面から離れるタイミングがあるため身体への負担は大きく、膝や腰などに不安がある方は注意が必要です。また、日頃運動をしていない人にとっては、いきなりある程度の距離・時間を走ることはハードルが高いかも知れません。 無理のない方法でやってみることが大切です。
走ることの効用
コロナ禍となってから、一人でできるジョギングやウォーキング、散歩などをする人が増えていると言います。またコロナ禍の前からブームだったランニングについては、各地のマラソン大会参加希望者が今なお多いとのこと。
「走っていると、無心になれる」「ぼーっと散歩するのが好き」などの魅力がある一方で、「脳にいいから」「アイデアがわくから」といった理由で歩き始める人もいる。今の自分にはどんな歩き・走りが合っているのか、試しに動き出してみるのもいいですね。