洗面所といえば、顔を洗う場所。ただ今の時代では、洗面所はもっといろいろな役割や機能が求められる場所となっています。洗面所のニーズがさらに多様化しているのです。
 
　古い家などにおいては、洗面所スペースは意外と軽視されることもありました。家の端の方に配置されていたり、浴室を広くする際に狭くされたり…。　現代では、暮らしやすさを実現するための生活動線の一部（時には中心）として、これまで見過ごされがちだった洗面所の価値を見直そうとする住まいづくりが行われています。
 
　洗面所が叶える暮らしやすさとは、具体的には、身支度のしやすさ、ちょっとした家事や掃除（片付け）のしやすさ、清潔さや華やかさ、といったもの。こうした様々な要素が洗面所に求められるニーズであり、それらを実現するためのリフォームプランも、進化してきています。

　洗面所が浴室と隣あわせになっているご家庭は多いと思います。その場合、 洗面所は脱衣所を兼ねることになり、タオル類や着替えの収納を確保する必要が出てきます。洗面台の横に洗濯機を置いているのであれば、洗剤や柔軟剤などのストックを置いておくスペースも必要です。洗濯物がすぐに取り出せて干せるよう、空間の上部に部屋干しユニットなどを設置するケースもあります。
 
メイクやヘアセットで洗面所を利用している方も多いでしょう。化粧品やメイク道具、ドライヤー、必要な小物類など、電化製品からこまごまとしたものまで、上手に整理しておけるスペースや収納は必須です。男性の場合はひげ剃りをする際のシェーバーや剃刀などの置き場所も必要。また、メイク等の際には明るい照明や鏡、コンセントがあることも前提となります。
 
　洗面所を、家族の行動パターンに適した水廻り動線の一つとして見ることも重要です。キッチンの近くにあれば、洗濯と調理を並行して楽にできます。食事の支度で忙しい時でも、子どもたちの着替えに気を配ったりもできます。さらに物干しスペースとつながっていれば、日々の家事の負担がとても軽減できます。
 
身支度や家事をスムーズにし、必要なものがすぐに取り出せたり片付けたりできる収納を備え、さらに清潔さがキープされた心地よくおしゃれな空間。洗面所はリフォームの工夫次第で、様々な要素を組み込んだ多機能空間になれるのです。

　洗面所リフォームといえば、これまでは洗面化粧台など設備の変更のみで終わるケースが少なくありませんでした。ただ先述しているとおり、ご家庭ごとのライフスタイルや家全体の動線なども含めて考えると、より快適に暮らしやすくなるためにはどうすれば良いかが見えてきます。
 
　化粧品やメイク道具が多い場合は、効率の良い収納があると便利です。また手元が明るく見やすく、パウダールームの中心としてきちんと機能する洗面化粧台を選ぶと良いでしょう。
 
　限られたスペースでの収納もポイントです。洗濯物や着替えなどを置いておく場合も、きちんと 隠してしまえる引き出しや扉付きの棚が良いか、タオルなどを楽に取り出せるオープン式のラックが良いか等、わが家に適した収納を考えてみましょう。
 
　逆に、シンプルな暮らしが好みという場合は、収納がまったくない、洗面ボウルと一枚鏡だけのカウンターを選ぶのもありでしょう。家族構成などにより、収納場所を確保しなくても大丈夫、自分たち好みの空間づくり が最優先という方なら、割り切った考え方もできます。
 
　わが家の理想の暮らしはどんなものか、それを叶える洗面所とは？そんな観点で洗面所リフォームを考えてみてください。

　洗面所の基本的な行動の一つである「顔を洗う」ということは、「さっぱりする」「気分一新する」といった意味合いもあると思います。洗面所リフォームは、まさに気持ちを真新しくさせ、日常をより豊かにできる もの。家族の趣味や願いが盛り込まれた空間は、毎日使う場所だけに、喜びが実感できることでしょう。
 
　どんなふうにリフォームすれば、毎日が楽しく、楽になるか。いろいろと思い描いてみるのもいいですね。