タイパとは何か? さらりと解説
最近、様々な場面で多く見聞きする言葉のひとつに、「タイパ」があります。言葉自体や意味は知らない方でも、自然とタイパの良い行動をとっているかもしれません。今回は「タイパ」についてのお話です。
タイパとは
タイパとは、タイムパフォーマンスの略語です。似た言葉にコスパ(コストパフォーマンス)がありますが、コスパは「かけたコスト(お金や苦労)に対する効果」を示すのに対し、タイパは「かけた時間に対する効果」 を示すものです。そもそも「コスト」の中には「タイム」も含まれていたのでは?と思う方もいるかもしれませんが、時間に特化したこのような言葉が注目されるくらい、現代は時間というものへのこだわりが強いのかもしれません。
「コスパ=費用対効果」とすれば、「タイパ=時間対効果」という意味合いになります。タイパを重視する傾向は、とりわけZ世代の人たちに強いと言われています。膨大な情報があふれる現代、やるべきこと・やりたいことが多すぎて忙しい毎日で、限られた時間をいかに有効に使うか……そういった意識が、タイパをより意識するライフスタイルの要因になったと言えるでしょう。
タイパの良い事例あれこれ
実際に、タイパの良い行動とはどんなものなのか。いくつ事例をあげてみます。
●SNSで情報を探す
知りたいことやわからないことは、すぐにSNSを使って調べます。特に若い世代では、検索エンジンよりもInstagramやyoutubeなどで探す方が効率が良い(目的のものが見つけやすい)、という意見もあるようです。 ●映像を短時間で見る
SNSの動画視聴に費やす時間を短縮するのに、 動画を倍速で見たり、ショート動画を見たりします。長尺の動画から抜粋して編集した「切り抜き」動画なども人気です。短時間での動画視聴は、スキマ時間や通勤・通学時の空白を埋めるのに役立っています。 ●内容を知ってから決める
たとえば映画などはストーリーや結末を調べてから観る。プレゼントなどは欲しいものを聞いてから買う。どんな結末になるか、ドキドキ感は薄れるかもしれませんが、絶対に失敗しない・効率が良い、という安心感があります。 ●決めたら素早く行動する
調べて納得できたらすぐに行動する、というスタイルが基本です。感動できそうな映画ならなるべく早く味わいたい、その思いをすぐに共有したい。出遅れて機会を逃したら、調べた時間も高ぶった気持ちも無駄になってしまう、という焦りもあるかもしれません。 |
タイパの悪い事例あれこれ
タイパ=時間対効果という観点でみると、効果の上がっていなさそうな行動・様式も見えてきます。
●通勤時間の長さ
コロナ禍でのリモートワークシフトでより浮き彫りになった感もありますが、長い通勤時間はタイパの悪いものと捉えることができそうです。どうしても出社しないとできない仕事は別として、リモートで成立する仕事なのに出社が求められる場合に、余計に時間の無駄だと感じるという意見も。もちろん個人差はあり、通勤時間を自己学習や趣味に使うなど有効活用できる人もいます。 ●会議や打ち合わせ
関係ある人もない人も参加、決定までのプロセスが冗長(決定しないこともある)など、形骸的な会議や打ち合わせはタイパの悪いものとされます。必要不可欠なメンバーのみのリモート会議や、事前の論点整理・目標到達へのストーリー設定など、より効果的・効率的な会議の場へと改革が進められているケースも多そうです。 ●紙の資料や伝票
従来の紙ベースでの資料作成や伝票作成が、タイパの悪い例として挙げられます。作成のための労力は同じとしても、印刷の手間や時間・回覧の手間や時間・保管場所や確認の手間など、様々なデメリットが指摘されます。電子化が進められている分野でもあります。 |
タイパ重視は何のため?
タイパが叫ばれる現代は、とにもかくにも時間重視・効率重視・無駄排除、というわけではありません。タイパ重視派の人たちでも、一方で、 自分が好きなモノ・コトに対しては惜しみなく時間もお金も費やす 、という傾向もあるとのこと。「好きな世界にはとことん没入したい」からこそ、「無駄な時間(やお金)は絶対に使いたくない」ということにつながっていそうです。
今後、より一層タイムパフォーマンスが求められる世の中では、自分や周りにとって本当に必要なモノ・コトが何なのかを、今まで以上に見極めていかなければならないのかもしれません。