2020年02月02日
建国記念の日 神話と歴史のミステリー
建国記念の日
神話と歴史のミステリー


2月1 1日は建国記念の日。1 年にいくつかある祝日のひとつですが、実は「日本が建国された日でしょ?」と考えるのは早計です。建国記念の日は、本当はどういう日なのでしょうか。
●「記念日」ではなく「記念”の”日」
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2月11日祝日の正式な名称は、「建国記念の日(けんこくきねんのひ)」です。意外と多くの人が「建国記念日(けんこくきねんび)」と呼んでしまっていると思いますが、厳密には間違いなのですね。そして、そもそも2月11日に日本が建国されたという史実も不明です。
なぜ、わざわざ「記念の日」と言うのか。そこには歴史や政治にまつわる様々な事情がからみあっているのです。。
●「建国記念の日」の本当の意味
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1 年に1 6日ある国民の祝日。1 9 4 8( 昭和2 3 )年に施行された「国民の祝日に関する法律」で定められます。「建国記念の日」は「建国をしのび、国を愛する心を養う日」として、1 9 6 6( 昭和4 1 )年に定められました。今から5 0 数年前に制定されたということは、それほど長い歴史がある祝日ではないことがわかります。またその内容からも「建国された日」という意味ではないようです。
史実に基づく建国の日ではなく、建国されたこと自体を記念する(しのび、愛する)日。少しわかりにくいですね…
●「建国記念の日」制定のいきさつ
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実は建国記念の日の成り立ちを調べると、明治時代までさかのぼることになります。明治政府は、長い日本の歴史のはじまりを、初代天皇である神武天皇の即位日と定めました。即位日は旧暦の紀元前660年1月1日(日本書紀に記載されています)、新暦に換算した日付が2月1 1日になります。そのため、2月1 1日は「紀元節」として、まさに建国を祝う日と制定されることになったのです。
しかし第二次世界大戦後、GHQによって紀元節は廃止されます。その理由が「紀元節を認めることで天皇を中心とする日本人の団結力が高まるのでは?」というアメリカの懸念によるものでした。
ただその後、多くの国民が「建国を記念する日」を望んでいるという声が再び高まり、何回もの与野党の対立を経て、1 9 6 6( 昭和4 1 )年に国民の祝日として追加されることとなりました。
●国の起源日はわからなくても
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今日では、歴史学者たちの研究によると、「神武天皇の存在に確証がない」「だから正確な国の起源も定められない」という意見があるようです。
そういった意見も踏まえた上での「建国記念の日」。元号が平成から令和に変わって間もない今、日本という国の歴史やその成り立ちに思いをはせるのもいいかもしれませんね。